19世紀初頭にパイプを使う喫煙がイギリスからドイツに伝わり、エルツ山地の人々もパイプを吸い始めました。パイプ製造の技術はおもちゃ造りにも取り入れられ、最初の煙だし人形が1850年頃にザイフェン近郊のハイデルベルクで作られました。
しかめっ面の表情のくるみ割り人形とは対照的に、煙だし人形のデザインは、煙突掃除人、郵便配達人、鉱山労働者、そしてボヘミアからやって来た職人・行商人など、村のみんなが知り、とても好かれている人達を表している物でした。
煙出し人形は、主に胴の部分で二つに分かれ、胴体の中でお香を焚くとその煙が人形の口から立ち上る造りになっています。お香には空気を清める働きがあり、ドイツではお客様の来訪時にもてなしとしてお香を焚く習慣がありました。
最先端の設備を導入し新しい技術を得ること、また新たな市場へ挑戦する意欲から、当社も90年代に最初の煙だし人形の原型を制作しました。
2004年からは、幅広いサイズの煙出し人形を継続的に制作し続けています。デザインは精巧で、様々な飾りと丸いお腹が特に特徴です。ミュラー工房独自の形状や、彫刻された足などの細かい要素はデザインとしてドイツ特許商標庁に登録済みのものです。